2011年8月5日金曜日

福島の原発大事故から見えてくるもの(付録編)

福島の原発大事故から見えてくるもの(附録編)
ある講演会の記録より


CO2温暖化説は正しいか
 もう一つ原発推進の根拠として「原発は温暖化の原因である二酸化炭素、CO2を出さない」とよく言われます。しかし、前に述べましたように、原発は決して石油を節約することにはなりません。したがって、「原発はCO2を出さない」とは言えないのです。

 実は、特に最近になって「CO2温暖化説は間違っている」という声がいろいろなところから出てきています。もし、本当にCO2温暖化説が間違っているのだとしたら、これは大問題です。歴史的なスキャンダルということになるかもしれません。

 CO2温暖化説が本当に間違っているのなら、各国のエネルギー政策は根本的に間違っていることになります。また、CO2削減を主要なテーマとする数々の国際会議もまったく見当違いのものだということになります。すなわち、もし、CO2が温暖化の原因でない、ということが真実であれば、将来的な資源不足や資源枯渇の可能性は別として、石油や石炭、あるいは、天然ガスなどの化石燃料を思う存分使っても、温暖化は起きないことになります。

 正直に言えば、実は、私自身もすでに数年前に、「CO2温暖化説は間違っている」という意見があることを知って「もしかしたら、それが真実なのかもしれない」という思いがなかったわけではありません。

 しかしながら、それでも、結局、世界中で「CO2が温暖化している」と言っているのだから、やはり、CO2温暖化説は正しいのだろうとこれまでは思ってきました。

 ところが、最近になって「CO2温暖化説は間違っている」とする本が何冊も出版されるようになりました。そこで私もあらためてそれらの本を読んでみたり、インターネットで情報を集めて検討してみたのです。

 その結果、この問題に関して、どうしても見過ごしにできないいくつかの事実があることが分かりました。これから書いていくことは、それらの事実のうち、もっとも私たちに分かりやすいものだけをまとめたものです。詳しいことについては関連する本などを読まれることを望みます。

CO2温暖化説はどのようにして広まったか
 1980年代の前半までは「地球は寒冷化している」というのが学会の定説でした。ところが、1988年にアメリカのNASAの研究員であったジェームス・ハンセンという人が、アメリカ上院の公聴会で次のような証言をしたのが「CO2温暖化説」の事実上の始まりです。

 「最近の異常気象、特に、暑い気象が地球温暖化と関係していることは99%の確率で正しい。人間の活動によるCO2が大気中に増え、地球を温暖化している。温暖化が進めば、異常気象が多発したり、海面が上昇するなど、不都合なことが地球を見舞う。」とハンセンは主張したのです。しかし、この主張は発表当初は科学者などからも単なる一つの仮説にすぎないとして、それほど注目はされなかったようです。

 ところが、この仮説にフランスが飛びつきました。当時、フランスは国策として原発を推進していました。ところが、スリーマイル島の原発事故、それからチェルノブイリの原発事故などが起こり、原発に対して風当たりが非常に強くなりました。その結果、このままでは、もはや原発をやっていくことは困難であるという状況があったのです。そこに、CO2温暖化説が発表されたというわけです。

 フランスは政府も電力会社も一丸となって「原発はCO2を出さない。(本当は、原発は決して石油の節約にならないので、CO2を出さないとは言えないということは、これまでに繰り返し述べてきたとおりですが・・・)したがって、地球を温暖化しない。だから、地球環境を守るためには原発がもっとも望ましい。」というキャンペーンを大々的に繰り広げ、国を挙げて原発を強力に推進していったのです。なぜ、原発を推進したいのか、それは前にも述べましたように、莫大な利権が絡んでいるからです。

 それが欧米の各国に広まっていきました。ドイツを中心として国際的な政治問題にまで発展しました。その中心となったのが国連のIPCC、すなわち「気候変動に関する政府間パネル」です。

 この動きは欧米だけではなく、世界中に広がっていきました。日本も例外ではありませんでした。当時の環境庁は国内の企業各社による公害問題が一応収まって、環境庁への予算も大幅に削られかねない、そして環境庁の存在意義そのものが問われていたと言われています。

 そこに、CO2温暖化説が欧米から伝わってきたのです。どこまで本当か分かりませんが、当時の環境庁の上層部のある人が「これで行ける!このCO2温暖化説でこれからも環境庁はやっていける!」と言ったという話があります。いかにもありそうな話です。

 いずれにしても、世界中で同じような動機でこのCO2温暖化説がもてはやされるようになったのではないかと推察します。その辺の事情について、現在の環境省に関わる人が、CO2温暖化説は最初あくまで一つの仮説だったのだが、それがいつの間にか事実である、ということになってしまっていた、と話されています。

 それまではずっと地球は寒冷化しているという説が定説のようになっていたので、突然、地球は温暖化していると言われて、少し戸惑った方も、科学者だけでなく、多かったようです。当時、私も少し違和感を抱いたことを今でも覚えています。

 しかしながら「産業革命以来、石炭や石油などの化石燃料を大量に消費するようになった。そのために、毎年、保温効果のあるCO2が増え続けている。その結果、温暖化が進んでいる」という説明は、それなりに理屈に合っているように思えたのは事実です。

 また、その説明とともに提示された「毎年のCO2濃度の変化と気温の変化を記録したグラフ」を見ると、確かに、20世紀の後半より気温が急激に上昇してきているように見えます。そして、それがCO2濃度の増加とよく符合しているように見えるのですから、科学者を含めて多くの方が、CO2温暖化説を認めるようになりました。現在では、CO2温暖化説はほとんど定説であると言ってもよいほどです。

CO2温暖化説を検証する
 ところが、その定説だと思われ、多くの人々が信じ切っていたCO2温暖化説に、最近とくに、はっきりと異論を唱える人々が出てきたのです。私もそれらの人々が書かれた本などを読んでみました。 ここでは、それらの本に書いてあることの中で、誰にでも分かりやすいいくつかの事実についてのみ説明いたします。

1 気象学者のキーリングは30年にわたり南極とハワイでCO2濃度を測定して、CO2温暖化説に根拠を与えた一人です。しかし、その当人が後になってCO2温暖化説を覆す事実を発表したのです。

 彼は長年にわたる気温変化とCO2濃度変化の関係をグラフにしています。それを全体的にざっと見ますと、一見、気温の変化とCO2濃度の変化がよく符合しているように見え、CO2温暖化説を裏付けているように見えます。

 ところが、そのグラフを詳細に見てみると、明らかに「気温の変化が先に起こり、その後にCO2濃度が変化している」ことが分かります。実は、私も4、5年前にそのことに気が付いて、何だか変だな~と思ってはいたのです。

 要するに、これは「何事も先に原因があって、その原因によって結果が引き起こされる」というこの世界の鉄則から言えば、「気温の変化によってCO2濃度の変化が引き起こされる」ということなのです。

 つまり、キーリングのグラフによれば、「まず、気温が上昇する。その結果、CO2の濃度が増加する」ということです。このことから言えることは、明らかにCO2濃度の増加が気温の上昇をもたらしたのではない」ということです。

 「まず、気温が上昇する。その結果、CO2の濃度が増加する」というのは、一応次のように説明できるのではないでしょうか。

 (例えば、太陽の活動が活発になることによって、あるいは、他の原因で)太陽光の入射量が増えることによって、まず気温が上昇する。その結果、海水の温度が上がり、海水中に含まれているCO2が蒸発して、空気中のCO2濃度が増加する。

 確かに、現段階では、これも仮説には違いありません。しかし、「CO2温暖化説は絶対正しい」という固定観念を一応横において考えてみれば、大いに説得力があるのではないでしょうか。

2 人間の産業活動や生活活動は年々増加しているので、CO2の排出も年々増加しています。それにもかかわらず、世界的に1992年と93年は空気中のCO2濃度は増加していません。これは1991年に起きたフィリピンのピナツボ火山の大噴火のために、太陽の光が遮られたために世界的に気温が下がったためだと考えられます。つまり、「気温が下がったために、CO2の濃度が減少した」ということなのです。

3 エルニーニョは太平洋の赤道付近の海面温度が上昇する現象です。エルニーニョの発生とCO2濃度の変化を調べてみると、エルニーニョが発生した1年後にCO2濃度が増加することが分かっています。つまり、海水の温度の上昇がCO2濃度の上昇の原因となっているということなのです。

4 1940年から1970年までの30年間に人間の活動により排出されたCO2の量は急激に増えています。しかしながら、その間、地球の平均気温は下がっています。

 もし、1から4のことが真実であるとすれば、そこから導き出される結論は、「気温の上昇・下降によって、空気中のCO2濃度が増加・減少」するということです。CO2温暖化説ではこれらの事実を納得の行くように説明することはできません。すなわち、「CO2が原因で、気温が結果である」ということではなく、「気温が原因で、CO2濃度は結果である」 ということのほうが真実なのではないでしょうか。

5 ここで少し理論的に考えてみましょう。大気中に含まれているCO2はたかだか約0.04%でしかありません。そして、大気中のCO2は毎年1から1.4ppmずつ増加しています。つまり、最大でも1.4ppmです。ここ100年を平均すると、年に1ppmずつ増えているということになります。

 ところで、1ppmというのは100万分の1を表す単位です。つまり、毎年平均して大気中の100万分の1だけCO2が増加しているということです。 もう少し分かりやすく説明しましょう。大気が100万あるとすると、そのうちの0.04%、すなわち400がCO2いうことになります。それが毎年1だけ増えるというわけです。

 もっと分りやすく、お金に例えてみましょう。親は100万円持っているのに、子供は400円しか持っていません。そして、毎年親から1円だけ小遣いをもらっているということです。子供のお金は毎年、親の持っているお金の100万分の1ずつしか増えていないのです。これでは何もできません。

 話しをCO2に戻しましょう。計算をしてみると、毎年、CO2が1ppm増えるとすれば、地球の平均気温はわずか0.004℃ずつしか上がらないという結果になるそうです。これでは、「人間の活動によって排出されるCO2が温暖化の原因だ」と説明するのはかなり難しいのではないでしょうか。

クライメートゲート事件
 国連のIPCCには中心になるメンバーがいて、世界中の多くの学者たちがそのデータを共有し合っているそうです。したがって、IPCCのデータは信用性があるということになっていました。

 ところが、2009年11月に、IPCCの中心的な研究員の人々のメールのやり取りが暴露されてしまったのです。これらの何百通から何千通というメールはインターネット上でも読むことができます。

 この暴露事件はウオーターゲート事件と結びつけて、クライメートゲート事件と呼ばれています。「クライメート」というのは「気候」と言う意味ですが、要するに、気候に関する大スキャンダル事件という意味合いが込められているのでしょう。

 IPCCはこれまで、「この1000年間、20世紀の後半以外は温度が非常に高くなったことはない」と主張してきました。要するに、20世紀の後半から地球の温度が異常に高くなっている、というわけです。それがCO2温暖化説の根拠となっていました。

 IPCCによれば、この1000年間ずっと気温は低かったのに、産業革命以来、急に地球の温度が上がってきた。それは、産業革命以来、人間の活動によって大気中のCO2の量が増えてきたためであるということです。過去の気温を調べて、それをグラフで示しています。ある時点までは、毎年の報告にもそういうグラフが発表されていました。

 実は、いろいろな研究結果から、中世においては非常に気温が高かったと言われていたのです。ところが、IPCCは「産業革命以後はじめて気温が上昇してきた。とくに20世紀の後半になって急に気温が上昇している」と主張したのです。IPCCのグラフでもそういうことになっていました。

IPCCがデータを捏造していた
 ところが大量のメールが暴露されて、結局、IPCCのメンバーが気温のデータを捏造していたということが分かったのです。同僚の研究員にあてたメールには「中世温暖期のデータを捏造するトリックを完了した」という内容の記載があったそうです。さらに、メールを書いた本人がその事実を認めたということです。

 このことによって、「ここ1000年間で20世紀だけが温度が高くなった」というのは事実でなく、捏造されたデータだったことが明らかになったのです。

 それだけではありません。その他に、北極海の海面温度などもが捏造されていたことがわかりました。

 もう一つはっきりしたのは、これは捏造というよりも、気温のデータの取り方が、国によっては非常にずさんであることも明らかになりました。例えば、日の当たる建物から1メートルぐらいのところに温度計が設置してある、というようなことです。日本ではこういうデータの取り方はしないと思うのですが、アメリカなどではかなりいい加減にやっているそうです。その他に、海面温度の測定なども、かなり杜撰(ずさん)であったことなどもはっきりしてきました。

 データの捏造は話しにもなりませんが、いずれにしても、このような杜撰なデータでは、決して正しい結論を導くことはできません。したがって、IPCCの報告自体が全面的には信頼に値するものではないということになります。

 それにしても、なぜ、「中世の気温は高かった」ということを否定するようなデータの改ざんをしたのでしょうか?何かはっきりした意図があったに違いありません。要するに、世界中の人々に「大気中のCO2濃度の増加が温暖化の原因である」と信じ込ませる必要があったのでしょう。ということは、もしかしたら、そうすることによって、大儲けをしたり、権力を維持・強固にすることのできる人たちやグループが存在するのかもしれません。そうでなければ、誰もこんな馬鹿なことをするはずはないと思うのですが、果たして真相はどうなのでしょうか。

温暖化は起きているのか
 これまでの説明だけでも、CO2温暖化説にはかなり疑わしいところがと言えるのではないのでしょうか。それらの事実だけではなく、それを証明する事実がその他にもいくつもあると言われています。そこで、次に「CO2が原因でなくとも、温暖化そのものは起こっているのだろうか?」ということが、あらためて問われることになります。

 これについては、CO2温暖化説に疑問を持つ人々の中には、今のところ3つの考え方があるようです。

 一つ目の考え方は「北半球では温度が上昇している。しかし、南半球では温度が下がっている。そして、地球全体では温度が上がっているとは言えない。宇宙から衛星で観測した結果によれば、大気中の温度は上がっていない。このようなことから、地球は温暖化していない」というものです。

 二つ目の考え方は「CO2が原因ではないかもしれないが、いずれにしても、人間の活動による何らかの結果、例えば、メタンその他の温暖化ガスの増加などにより、温暖化が起こっている」というものです。

 三つ目の考え方は「多数の測定結果や人々の実感から言えば、近年になって地球の温度が上昇しているというのは事実である。しかし、上昇しているといっても、あくまで自然現象の結果である。したがって、それを、いわゆる、人間の活動の結果による温暖化とは区別しなければならない」というものです。

 私自身の実感としては、昔に比べると、冬でも夏でも随分気温が上がっているのではないかと思います。短絡的かもしれませんが、そういうことから、やはり、地球全体の平均気温が上昇しているのではないかという気もしています。しかしながら、その原因がCO2であるという説については、疑いの気持ちが強いというのが正直な気持ちです。

 一方、CO2温暖化説懐疑論に対する反論や批判も出されています。要するに、現段階ではこの問題に関して「これが真実である」と、はっきり決め付けることはできないのではないでしょうか。地球の気候は色々な要因が組み合わさって成立しています。したがって、CO2を含めた温室効果ガスが地球の温暖化の原因となっているかどうかは、いまだはっきりとは結論は出ていない、と言ってもよいのかもしれません。したがって、今の段階では、CO2温暖化説が間違いだとも、逆に、正しいと断言もできない、あるいは、どちらと断定するのは早計であるのかもしれません。

 いずれにしても、現在、そして、これからの私たち人類社会にとって、CO2温暖化説が真実であるかどうかという問題は、ある意味では「天動説が真実か、それとも、地動説が真実か」という問題に匹敵する大問題です。なぜならば、今後の日本、そして、世界中の原発問題を含めたエネルギーの基本政策、そして、人類社会のすべての活動が正しく営まれるかどうかが、その結果に掛かっているからです。

 この問題の重要性を考慮すれば、何が真実であるにしても、今後、私たちはあらためて事実をしっかりと調べることにより、真実をはっきり見極めることが絶対に必要だと私は思うのです。 (付録の終り)


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1 件のコメント:

reddog060114 さんのコメント...

チャールズ・キーリングが
”後になってCO2温暖化説を覆す事実を発表したのです。”としていますが、情報ソースはどこですか?